2015年5月29日金曜日

「モンタージュ」 オルガンを聞くその3

鴇田智哉
 

春の滝見る往来の畳あり   生駒大祐

春の滝を見ていると、そこに人の往来が見えてくる。
春の滝と往来とは、明るい半透明のけむりのようにある。

そして、その移りかわるけむりのなかに、
畳はくっきりと、いかにもくっきりと水平にあり続けている。

この句を読んでまず、そういう景が浮かんだ。
やがて、回帰、という言葉が私の頭をかすめた。

言葉のモンタージュとして読んでいいのではないだろうか、この句は。

「オルガン」1号より

0 件のコメント:

コメントを投稿